「スパイキッズ」★2/5

Kakeru2005-02-12


すっかりご無沙汰感のあった「こども映画」の王道。しかも、親はあんまり良い顔をしなさそう……といったあたりも“正しい”こども映画として鉄板。
予算とCGを駆使して、完成度の高いおもちゃ箱に仕上がっている。


※以下はネタバレを含みます


だからといって、映画としての完成度はまた別の話。
子供たちがエージェントとして活躍しはじめた、というラストも『トゥルーライズ』を持ち出すまでもなく仕組みとして月並み。


こども映画として出色の出来で、親があまり喜ばなさそうな作品……というと、『ホーム・アローン』があるが、あちらにあったペーソスはこちらにはほとんど見受けられない。

一番の違いは、彼の作品には、これでもかとやっつけられてしまう大人たち(泥棒。あるいはエージェント)の「生身の演技」から伝わる体温があった、ということではないか。CGキャラをいくら見事にやっつけたところで、爽快感は薄い。あるいは、『スター・ウォーズ』までもむしばんだPC的な制限が、この作品が本来持ちえただろう本質的な魅力をスポイルしてしまったのだろうか。

また、ハトおばさんとのコミットメントはファンタジーに成りうるけれど、せっせと「小さな親切運動(?)」をして回るロボットはナイトメアにしか見えなかった。

バーチャルリアリティは全て「悪」など言うつもりはない。しかし、関係性や存在そのものが体温を失うことによっておこる様々なデタッチメントの弊害が、「DV」や「ひきこもり」といった形で吹き出している現代で、この映画を子供たちに積極的にすすめる理由は見つけられなかった。(CinemaScapeスパイキッズ」拙コメントより)


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写真みたいなシーンがメインの「生身」の映画だったらよかったんだけど。

CGが不可欠な技術なのはわかるけれど、技術偏重になって体温のない映画になるくらいなら、ローテクでバレバレの「トクサツ」を観てる方が楽しめる……なんて人間は旧世代の遺物なんだろう。