「スネーク・アイズ」★4/5

Kakeru2005-01-23


冒頭のニコラス・ケイジのアブラギッシュぶりの描写は、好きな人にはたまらない(キンピカ携帯電話とかね)
ラストのデ・パルマ的ツイストも、お家芸的にハマっている。彼が豊富な予算で撮った映画を見ることができたのは、素直にうれしい。


結果、ブライアン・デ・パルマニコラス・ケイジが好きなら、たっぷり楽しめる映画だと思う。カメラワークはいつもの味だし、撃たれる人物の描写にも独特のセンス(美学?)がたっぷりだ(クロサワ的血しぶきの大仰さが、スプラッターにしか思えなくなる)


※以下はネタバレを含みます


しかし、クライマックスまで繰り広げられる「事実」の錯綜が、『羅生門』をイタダイた『戦火の勇気』のレベルにも達していないのは、まあしかたないのかも。


ゲイリー・シニーズが、悪役顔で説教臭い善人をやってるのか、と思いきや予定調和的にイヤな奴になるのはお約束。
しかし彼が、湾岸戦争での「被害者」ぶるのは、いかにもアメリカ帝国の独善主義。その独善を否定しているのではなく「彼もかわいそうな人なんです」といった言い訳をしているような気がするのは考え過ぎか。

あと、坂本龍一は、いらなかった。映画のトーンに全く合っていない。もしかしたらジャパンマネーを引っ張るための、わかりやすいお神輿だった?(ニワトリなのか卵なのかはもうわからないけれど)

最後にモニタールームでニコラス・ケイジゲイリー・シニーズが対峙したときのバックの画面に、カシオとキヤノンのネオン看板が大写しになったのは、ジャパンマネーの存在をダメ押ししされているような感じがして興醒め(CinemaScapeスネーク・アイズ」拙コメントより)


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僕はデ・パルマニコラス・ケイジが大好きだけれど、もちろんこの作品が彼等の「代表作」とは思わない。
でも、なぜかこう引きつけられる圧倒的な魅力を感じてしまっていて、マイベストテンの……次点くらいにはなるかな。

ゲイリー・シニーズという人も大好きな俳優の一人。
彼のベストアクトは……やっぱり『フォレスト・ガンプ』のダン中尉なのかな。
でも、僕は『真夜中の戦場 クリスマスを贈ります(日本未公開・未DVD化)』の実直な兵士や、『レインディア・ゲーム』のどうしようもない悪役(しかもロンゲ!)のシニーズも結構好きです。結構B級多いですね、彼は。


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