BSE

Kakeru2003-12-27


アメリカでBSE感染牛が見つかり、あの騒動再び……ということになるかと思いきや、大平洋をはさんだ対岸の火事だからなのか、そうそうにぎやかな反応にはなっていない。
少しは冷静になったのかと思うけれど、多分大半の人は忘れてしまっているだけだろう。

今日の画像はあるラーメン屋の看板を再現したイメージ。
二年前のBSE騒動のときに、「牛」の一字を黒いビニールテープをベタベタ貼って隠した店があった。かえってイメージ悪いんじゃ……と店の前を通る度に思っていたけれど、やっぱり入ってみる気にはなれなかった(今日の画像は、その看板の再現イメージ。一年ぶりに通りかかったら……建物丸ごと跡形もなく消えてました)
でもそれは牛だったからじゃなくて、店の顔の看板をそんなふうにしておける店なんて、うまいわけがない、と思ったからだけど。


日本で相次いでBSE牛が発見されたあの騒動の時、とにかく牛肉そのものが駆逐されてしまったのにはまいった。焼肉屋からは内臓肉が消えて、コムタンなんかの骨からとったスープが一切消えた。
さて、今。焼肉屋のメニューはほとんど元に戻っている。安全になったから、というよりもあの頃は誰もが過剰反応していた、ってことだろう。

一番の過剰反応だと思ったのは、焼肉チェーンの牛角だった。
たしかに、焼肉業界のダメージは相当のものだった。その対策として何か花火を上げる必要もあったんだろう。新聞の全面広告で自社使用食材の安全性をアピールして、ビール1杯 98円、ハラミ290円といった大割り引きセールを打った。
ところが、その「安全」の根拠は「国産牛は一時使用を見合わせ」「安全なアメリカ産とオーストラリア産の牛肉のみを使用」という「シンプル」さ。
それまで「和牛にこだわります」とやっていた店の、あっというまの変身だった。
 
ところが、全面輸入肉になった牛角。内臓肉を中心にメニューは少なくなるし、カルビもハラミもボリューム感からおいしさから、なにもかもが急降下。
和牛がこの値段で食べられて、しかもおいしい! というコストパフォーマンスの高さはどこにもなくなってしまっていた。
それでも、まあ安いからときどき行っていたけれど、あるとき、石焼ビビンバの器で出てくるラーメンをたのんだら、火が通っていない麺を出された。作り直してもらっても、出てきたのはまた同じ「半生タイプ」。
それ以来行っていないし、もう二度と行かないだろう。


結局、あの頃も今も安全な国産牛を使っている店はいくらでもあるし、そういう店のクオリティは何も変わっていない。コストパフォーマンスと一緒に従業員のモチベーションまで急降下した店で食事をする理由はどこにもない。

でも、相変わらず行列ができる店もあるのにちょっと驚く。下井草の駅前の牛角、この寒空に結構な人数が並んでいた。
同じような値段でバツグンにおいしい店が線路はさんだ反対側にあるのになあ。
今度はその焼肉屋のこと書きます。

ハズレの店をつかみたくないと思った時のカード」としてフードチェーンは有効だと思うけれど、コストパフォーマンスを考えたら、まだ「安楽亭」の方がユーティリティープレイヤーになれそう。でもまあ基本的には……行きたくない(安いけどマズイから)