「プレッジ」★2/5
ジャック・ニコルソンの演技の凄まじさ! これについてはどんなに辛くしても★3以下は絶対に“ありえない”でしょう。鬼気迫る圧倒的な芝居が見られます。
だからこそ……
※以下はネタバレを含みます
容赦のない展開とエンディングに、悲しくなってしまいました。
僕は、映画はエンタテイメント、と思っています。
だからといって、ハッピーでなくてはいけない、なんてナンセンスなことを言うつもりはありません。
例えば悲劇だったとしても、共感したり身につまされたり、あるいは泣かされてしまったら、それもまた「楽しませてもらった」ことになると思っています。
しかし、ただただ辛くなったり、悲しくなったりするのであれば、それは一体何のための映画だったのか、何のための時間だったのか……と、そのへんでマイナス★1。
この作品で、主人公ジェリー(ジャック・ニコルソン)は、ひたすら失い続けてしまうだけです。彼の終盤にかけての行動は、いささか常軌を逸していたかもしれない。でも、彼の職業的カンは決して鈍ってはいなかったし、むしろ判断は的確だった。それなのに、最後に訪れるのは絶望だけです。
チラシのコピーは「妄想に飲みこまれていく」「狂気に取り憑かれていく」と、ことさらジェリーの誇大妄想を強調するものの、具体的な妄想は教会のシーンだけだったはずです。たしかに、子供を囮に使う行為そのものを、よい方法とは言えません。だからといって、彼が全てを失う必要があったのでしょうか?
そういった「底意地の悪さ」を目の当たりにしたときに、どうしても頭をよぎってしまったのが「監督/ショーン・ペン」ということです。彼の演技やこれまでの監督作品がどうというよりも……「ゲーム」の弟クンが映画を作っちゃった、みたいな印象を持ってしまったのは、まあ余談ですけれど。(CinemaScape「プレッジ」拙コメントより)
とにかくショーン・ペンという人は上手い。上手すぎる。そしてひどい、容赦ない。「セプテンバー11」でもかなりイジワルだった。
でも、彼の演技や彼の映画はこれからも観てみたいと思う。
そのへんが、デビッド・フィンチャーに対しての印象とは全く違うのはどうしてなんだろうな、と。ほんと、どうしてなんだろ。