「 マトリックス レボリューションズ」★1/5

第一作には「ビックリ」、とにかく新鮮。二作目は、そのままスケールアップしていたことををストレートに評価。
そしてこの完結編。
ごく控え目に言って、何もかも“過剰”
「これは……やっちゃったなぁ」というのが、一も二もない正直な感想。



愛を語らせれば理想論を通り越して形而上学。今まであれだけCGを使って懸命にカッコよく見せてたカンフーも、ワイヤーにこだわり過ぎてモッサリ、ノッソリ。

第二作の高速道路のように、わかりやすい凄さを持った場面が一切無いこの映画、いったいどんな観客を想定してたんだろう。少なくとも僕のような旧世代の人間はマーケティングされてなかっただろうし、はっきり言ってターゲットになんてしてもらわなくてもいい。

とにかく、なべやかんに言わせるまでもなく、ジャパニメーション的場面が頻出のこのシリーズ。今回はとうとうネオが『ナウシカ』になってしまうのだけれど、あの場面にしても王蟲というよりはむしろ『メガゾーン23』か『うろつき童子』。
メカのサイバーなデザインは、ネトネトグチョグチョ感をやわらげるためのカモフラージュ?

レイティングにひっかからないようにか固い殻(攻殻?)で“シュガーコート”したメカが縦横無尽に飛びまわるこの映画。ああいう戦闘場面を喜べるような人とは、一緒にご飯を食べても楽しい気分にはなれそうもない。

とにかく、上映時間の大半を、ジュルジュルでグチョグチョでワサワサ(そしてたぶんヌトヌトでヌラヌラ)なやつを、サイバーな上っ面でカバーしたグルグルが飛び回る映像に二時間もつきあわされてゲッソリした。

表面的に東洋的な宗教説話のような収束を見せたことも、とってつけたような印象があり、どうにも心までとどいてこない。仮装現実だろうとなんだろうと、シリーズ全体を貫く“体温の無さ”がここにきて大爆発してしまった印象を受けた。


ミフネ船長とかの「リロード!」と、補給兵の描写だけはリアルで……なんてほめようかと思ったけれど、もしかしたら「バイオハザード」で「タイムクライシス」なだけかもしれないからヤメときます。
CinemaScapeマトリックス レボリューションズ」拙コメントより)


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「体温がない」って印象は、冷血という印象ではなくて、オタク的ディスコミュニケーションが漂っていそうな雰囲気を感じたからかもしれない。

あれじゃあとにかくモニカ・ベルッチが無駄遣いだなぁ、という気がしてしかたがなかった。結局のところ、昔の月刊少年マガジンみたいにオッパイおっきいだけのお姉ちゃん、って使われてチョンなんだもの。