No ワイヤー、but ニンジャ!
『マトリックス リローデッド』であまりにもダウンな気分になってしまったため、銀座でハシゴしなかった『ラスト サムライ』を吉祥寺で鑑賞。
330席が立ち見! いったい誰が観に来てるのか……と見回すと、カップルだけではなく年輩客も多い。渡辺謙のゴールデングローブ賞ノミネート効果か。
以下観賞後の感想(未見の人にも一応配慮してますが……ご注意!)
この映画の評価では、「日本をよく描写している」という声と、「なんだあのトンデモ日本は」という声の両方が聞こえてきている。多分、どちらも間違っていない。
考証を綿密に入れつつ、エンターテイメントとして割り切りで、ずいぶんいろいろなことを思いきったんだなあ、と思うし、素直に評価できる点もたくさんあった。
しかし、以下二点。
- ニンジャ軍団。集団戦法で戦う忍者はファンタジー。あれが小規模部隊による襲撃で、何がいけなかったのだろう。
- 土下座。彼等は何のために何に対して平身低頭謝罪しなければいけないのか。軍人として挙手敬礼するべきところを、侍として、帽子をとり深々と最敬礼(お辞儀)をした、という描写だったらまだ納得できたと思う。
このトンデモ描写がどうしてもひっかかってしまい、日本人としては手放しではほめられない。
中途半端な「すてがまり」や、進歩的すぎるラブシーン、そういったことを演出手法として認識できても、ことが「土下座」だけに、あれだけはそうそう受け入れられるものではない。
それでも絶賛したいのは、ボブことサイレント・サムライ、福本清三!
彼の侍としての所作だけでも、日本の時代劇がとうの昔に失ってしまった何かを感じられた。彼の存在だけでも、濃厚な時代劇を堪能した気分になれると思う。
福本清三が誰かわからない人でも、見ればすぐにわかるはず。でも、今回はノーシャドーだし悪役でもないからわからない人もいたかも……でも、あの決めポーズ! あれできっと気づくはず。ハリウッド映画であれが見られたのは、もう最高! でした。
侍ならともかく、あんなニンジャ軍団だったら、アルバイト仕事の失敗で切腹させられててもおかしくないかも?